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2013年05月15日

南西諸島航海記 与論島へ渡る

2000年7月18日 
与論島へ 巨大ザメに追いかけられる



南西諸島航海記 与論島へ渡る


<遠征中の食事>
まだ星が閃く薄暗い朝、一人起きて朝食をつくる。だいたい調理するときはママーのマカロニをゆで、カップスープで味付け。その他バナナやトマト一個、もしくはキュウリ一本など。あまりたいした食事はしていない。凝った食事をつくる余裕もなかった。この食事の偏りは、総合栄養補助食品、サプリメントで補っていた。お陰で口内炎なども出来なかった。

<海を漂う者同士>
水平線に朝日が現れる頃、カヤックにのって海に滑りだす。まるですぐ近くのように見える与論島。煙突や建物まではっきりしている。ちょうど喜界島を奄美空港近くから眺めるような感じだ。風も波も殆どなく、海面は油を流したようだ。そのせいか潮流の動きがもやもやとカヤックを揺らすのもはっきりとわかる。間も無くして上空を1機のヘリが旋回してきた。どこぞのテレビ局が取材に来たかと思い、豪快に手を振る。あとで知るのだが、実はそれは沖縄サミットの警戒にあたっていた警視庁のヘリで、不審なやからを監視していたのだ。あまりに脳天気に手をふる姿に、こいつは危険ではないと判断されたのか、さっさと行ってしまった。

やがてちいさな流木が流れてきた。ふと手に取ると、なんと小さなカニが必至にしがみついている。広い大海原で、決して諦めることなく生きるチャンスにしがみつくその姿。細いカヤックに命を預け、必至に無事と成功を信じて海渡る自分と重なった。他人(他ガニ?)とは思えず心強くさえ感じる。そして「互いにがんばろう!」と声をかけ、別れた。あのカニはあの後どこへ流れていっただろう。


南西諸島航海記 与論島へ渡る

キャンプをともにした菊ちゃんに、出航の写真をとってもらう。かっこよく出発したかにみえて、この後カメラを受取りにまた海岸へ帰っていく。

南西諸島航海記 与論島へ渡る
真っ青な海の色。似たもの同士の出会い。


<巨大ザメ… ぎゃ〜!!>
やがて日も昇り、ジリジリと照らす太陽が体力を激しく奪っていく。まめに休んでは水を頭からかぶり、少しでも冷やす。このときも頭の暑さのあまり、オリオンビールのように見えてしまった…。 ふと30mくらい離れた場所が妙に気になった。見た目にはただの水平線、もしくは水面だ。自分でも何が気になるかわからないままじっと見ていたら、突然イルカの背びれが現れた。10頭くらいの群れのようだ。せわしない動き方は、おそらく魚を追ってたべているのだろう。感動してじっと見入る。距離は一向に縮まりはしない。私はクジラやイルカのような鳴きマネをし、呼び寄せようとした。すると、カヤックの直ぐ脇、深いところから大きな魚影が浮上してくる。お、きたきた…、よっしゃ〜と喜ぶ。やがてはっきりとその姿を確認できるほど水面ちかくなったとき驚愕。あ、あれ?、あれれ? もしかして…。なんとそれはイルカではなく、巨大なサメだったのだ!!! 


南西諸島航海記 与論島へ渡る
イメージ写真。後で特徴を知人に話すと、
「メジロザメ」の仲間ではないかとのこと。
大きさからしてオオメジロザメと思われる。


南西諸島航海記 与論島へ渡る
捕食中と思われるイルカの群れと遭遇。
きっと小魚も多く、サメさんの餌場でもあったようだ。


<ジョーズのテーマが流れる>
カヤックとの距離、右におよそ3m。サメの大きさ、目測で約3m。種類、不明。とにかくシャープな頭と尻尾。そして戦闘機のようにとことん理にかなった美しいフォルム。不思議と恐怖はわかなかった。それよりもなんて美しいスタイルなんだろうと、見とれてしまったいた。何秒そこにいたか、サメはイルカの群れにむかって消えていった。残念なようなほっとしたような気分だった。

私は再び与論島へむかって進みだした。何気なく後ろを振り向くと、10mほど後ろに突然サメの背びれが現れた!! さっきのやつだろうか。そしてまっすぐに付いてくる!! 頭のなかに映画「ジョーズ」のテーマが流れる。大城さんから、「5mくらいのサメは普通にいるから、カヤックによってきたらパドルで叩くくらいの勇気をもてよ」と言われていた。あのサメがもしもカヤックに接近してきたら、パドルで叩こうと考えながら進む。仮に本気で追いかけてきたら、カヤックのスピードなどで逃げられるはずはない。振り向く。まだ来る。進む。まだ来る。距離が徐々に迫る。こうなったら止まって引き寄せ、攻撃して追い払うかと思いカヤックを止めた。そしていつでも叩けるように身構えて振り向く。するとサメは180度向きをかえて去っていった。何事もなかった。


南西諸島航海記 与論島へ渡る
間近に迫った与論島。


<疲労がピークに達する>
快調に進むはずの無風の海。しかし何故だろう、体が重かった。スポーツドリンクはまめに飲み、塩飴などもなめている。しかし何かがおかしい。暑さのせいか、疲労だろうか。27kmなどこれまでとしたら余裕のある距離だった。節々が痛く、だるい。いつもは1時間に一回休憩をいれるリズムが、このときは30分に一回、やがて15分に一回と時間が狭まっていく。こうなると、どんなに美しい海やサンゴ礁が目の前にあっても、まったく目に入らない。とにかく1秒でも早くどこかに上がりたいのだ。そして与論島にたどり着くやいなや、なりふり構わず上陸。まずは海に浮んだ。横断のあと、手足を存分に伸ばすのは最高に気持ちがいい。それだけ座りっぱなしの格好は疲れるのだ。日陰に入って休むが、頭が痛い。呼吸も荒くなっている。買い出しなどまるでできない浜だったのでここからもう少し進み、茶花という場所に最終的にたどり着いた。どういうわけか午前中につくような簡単な距離で、もう疲れきっていて動けなかった。

南西諸島航海記 与論島へ渡る
与論島に到着。全身が疲労困憊だった。


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