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2013年01月08日

クロマグロ養殖場説明会 感想

 1月8日(火)、19:00より、龍郷町中央公民館にて開かれました、龍郷湾クロマグロ中間育成養殖場計画の住民説明会に参加してきました。これは、事業を計画をしている豊田通商(株)と、奄美漁協の主催ということです。

クロマグロ養殖場説明会 感想


 会場にはざっと250人くらいはいたようです。漁協関係者、観光業者、どちらでもない住民の方など。マスコミもたくさん来ていましたので新聞、テレビ、ラジオなどでも報道されるでしょう。お楽しみに。

 初めにこの計画は、平成24年3月に、豊田通商(株)から漁協へと打診があったそうです。そして豊田通商が計画海域を調査したところ、養殖設備を設置するのに問題ないと判断したとのこと。そして企業らしく、いろいろなデータを見せてのプレゼンテーションが行われました。ざっと記憶にのこっている範囲ですがご紹介します。


 まず養殖設備ですが、30mの生簀を最終的には24基設置予定。学校のプール以上にでかい直径です。それが24基。まずは4基より設置し、「慎重に海の状況をみながら」徐々に増やしていくということです。続いて地域経済への貢献です。まず会社を龍郷町に作るため、税収が龍郷町に入る。そして5段階のステップを経て最終的には正社員30人、パートもふくめれば50人程度の雇用の創出ということです。町や漁業関係者の方々からは、飛びつきたいお話なのもうなずけます。

一番心配していた環境対策について、私の記憶ではこうした説明でした。
1:タイやブリなどの養殖と比べると生簀のなかの個体は少ない。
2:成魚のマグロに比べ、エサは約1/10で済む(中間育成なので、個体が25cmほど)。
3:生簀の網の目が細かいのであまりエサの食べ残しは外へおちない。
4:藻類や二枚貝の養殖を同時に行い、水質浄化を計る。
5:毎日ダイバーが網の底を掃除する。
6:エサは配合飼料、そのた生魚(配合飼料は環境負荷が少ないとのこと)。

さらに五島列島ですでに行われている同じ中間育成の海中動画を流し、実際に潜ったかたのアナウンス。砂は汚れていない。潮の流れないがなどのコメントでした。

ここで質疑応答がはじまりです。が、しかし、

「龍郷町に籍のない方の質疑は受け付けません」と、漁協の方からアナウンス。ええ??であります。よって私は発言も質問も出来ませんでした。これでいいんですかね??

これは龍郷町だけの問題なのでしょうか。
奄美全体の問題だとおもうのですが…。


 先陣をきって挙手をするのはやはり「クロマグロ養殖場反対」を決議している芦徳の方々。景観の著しい変化、水質への心配、観光業への影響、それに先んじて集落住民への説明が遅かったことなどなどが意見、陳情として聞かれました。一方、漁業従事者も多数発言。それは豊田さんへ質問ではなく、こんな素晴らしい事業をぜひやってくださいという声ばかりでした。漁業者の方々は海への影響とか気にならないのでしょうか、と感じてしまう熱弁でした。

 この説明会だけで賛否をとって計画をどうするか決まるわけではありませんが、私の意見、感想を簡単にまとめさせていただきましょう。なんせ会場で発言させてもらえなかったのですから。

疑問1:「設備設置に問題はない」と判断した根拠があまりにも不明確。
設備設置を問題ないと述べた時「調査をした結果」とだけ述べ、どの海域の何を、どのくらいの期間調べたか。その具体的数値情報がまったく示されていませんでした。これでは潮流の停滞による汚染の心配を、住民から払拭することはできません。

疑問2:龍郷町民以外の意見は遮断。
海へ少なからず巨大な人口設備を投入するのです。「慎重にすすめる」のならば、より広い見識を得る必要があるのではないでしょうか。それが龍郷町という限られた枠でしめてしまうのは何故か。それに賛成、歓迎の人々はじめから多かったような今回の会で、適切な意見や指摘が企業に対し、充分に出されたとはいえません。

疑問3:潮流の調査情報の開示が極めて不十分
龍郷湾の中でも再奥にちかい瀬留の方のご質問です。

「一般住民が、賛否を判断できる環境調査の数値情報が得られていない。
判断材料として数字を開示してくれないか」


というものです。それは潮流のことを主に指していました。再奥の最も淀むことが予想される瀬留の方です。懸念されるのも無理のないことでしょう。そして豊田通商(株)の回答が次のようなものです。

私達(豊田通商)が調査した結果、五島では0.2ノット。
龍郷湾では0.6ノット。龍郷湾のほうが潮流は早いです。


私は、はあ?と思いました。これは龍郷湾全体に関わる問題、いや、笠利湾にも及ぶ問題のはずです。設備を設置する場所だけ調べればいいはずがありません。調査した地点もはっきり言いません。

五島列島のどのような場所の潮流を、
どんな潮回り(月の満ち欠け)の日に、またはどのくらいの期間計測したか。

龍郷湾のどの辺りを、どんな潮回り(月の満ち欠け)の日に、
どのくらいの期間計測したか。


 この2つがはっきりとして初めてどっちがどうと言えるはずです。龍郷湾の再奥に至るまで潮を調べ、その結果大丈夫となって初めて、汚染は極めて少ないといえるものでしょう。逆に言えば、ここまでやらなければ極めていい加減な調査で計画を実行しようとしている、とみなされても仕方がないと思います。発言こそ出来ませんでしたが、環境への影響について過小評価しているという印象は強くなりました。

疑問4:真摯な謝罪が一度もなかった。
今回この問題がこれほど熱く膠着している原因はなんでしょうか。新聞などでいきなり知らされた住民の怒りです。企業、漁協、行政だけが知っていて、もうやりますよ、みたいな報道が住民が知る前に流されたのです。反対の声や、説明会開催の要望がなかったらそのままやってしまったのか、と思われてもしかたありません。「後手後手にしたつもりはございません」と連呼するだけです。つもりはなくても、結果、住民を侮辱した結果となったのです。それに大しての謝罪のコメントや姿勢が極端に欠落していたと感じました。残念です。

疑問5:隠している情報の可能性
ダイビングをしていたというある方から、計画絶賛の声があがりました。その方の口から「生簀の網は半年であげて掃除するから臭いは大丈夫」など、豊田通商(株)の説明にない情報が流れたのです。一部の人達にしか知らせていない情報まだあるのでは、という疑惑と不安を抱かされる瞬間でした。

そして9時をすぎ、タイムアウト。最後にまとめます。

1:今後、再度住民説明会を行う予定である。

2:今回の説明会で新たに生じた疑問などを受け付ける窓口を、
豊田通商(株)が設ける。

3:現在の時点では、計画は県としても保留されている。 

ということです。今回、漁協や企業側、雇用や税収を得られる立場も理解してみようという姿勢で臨みました。それにも関わらず、説明や質疑応答の回答、さらに異様なまでの賛成派の熱弁に、不安と疑惑がふくらむ結果となりました。

今後の同行に一層注目したいと思います。おやすみなさい。





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この記事へのコメント
おはよう御座います。
ブログ掲載お疲れ様でした。
私も参加してました。
終わってから漁協で議員でもある
田畑さん(赤尾木の田畑鮮魚)と10分程話ました。
少なくとも彼は龍郷の海を昔の海に戻すために
藻場や珊瑚の植樹など行なって頑張っているようです。
いつでも話を聴いて下さいと行ってましたので
ご連絡させて頂きます。
Posted by せきとしあき at 2013年01月09日 09:12
賛成派と反対派による、町民分裂は、、、、、
原発問題と一緒で、龍郷町だけの問題ではないと思いますが?
行政の正しい判断と、問題の解決を望みたいですネ。
ただただ綺麗な龍郷湾が残る事を熱望しています。
見守る事しか出来ませんが、孫に残せる綺麗な海を守って下さい。
アシパパ
Posted by APA at 2013年01月09日 09:44
せきさん
お疲れ様でした。ご意見ありがとうございます。
あの場で町以外の人の質疑をさせていただいていたら、私の疑問も直接豊田通商さん(株)から得られ、もう少し晴れたのではないかと思います。

アシパパさん
こんにちは。いつもありがとうございます。今回、税収がある町、雇用にあずかることが出来る漁民、熱意にみちた企業の立場もある程度理解しました。海が手付かずに残ればそれに越したことは無いと思います。しかし、島に若者がいられない事情…。このへんをもっと理解しつつ、歩んでいこうと思います。ただ反対、ただだめでは、こちらの言い分だって理解されないのですから。
Posted by gon at 2013年01月09日 12:36
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    コメント(3)